AIと共に仕事をする時代に~ChatGPTの安心・安全な社内利用環境を作り、業務の生産性向上とAIに強い人材育成を加速~

Open AIのChatGPTとMicrosoftのThe Future of Work with AIと

※本コラムを読んでいただくほとんどの方は、すでにChatGPTや、LLM(Large Language Models:大規模言語モデル)がどのようなものであるかはご存知であるという前提で、その部分の説明は省略した形にいたします。
※(2023/04/05 追記)GPT4, GPT4-32kがAzureで利用できるようになりました

2023年1月のある日

私はAITCの戦略やAI製品に関していろいろ考えていました。私は何個かの観点で、一般的な意見をもらいたいことがあったので、自社の機密情報も加味して、AzureのGPTに聞いてみました。もちろん、GPT(Generative Pre-trained Transformer)は、LLMが次に来る単語を予測して出力している仕組みのため、確率論的に“無難なことしか言わない”仕組みですので、無難な意見をもらった感じはありますが、以下のように、壁打ちや抜け漏れなどの観点で、AIが仕事のアシスタントになる可能性をあらためて感じました。

2023年1月にAzureからOpenAIサービスがリリース

2023年1月にAzureからOpenAIサービスがリリースされました。

Azure OpenAI Service の一般提供開始 大規模かつ高度な AI モデルへのアクセスを拡大し、企業に付加価値を提供 - News Center Japan

AzureのOpenAIサービスは、Azureのセキュリティポリシーに従います。簡単に言うと、“お客様のデータはお客様もの”ということで、企業の機密情報も安心に利用することができます。

https://news.microsoft.com/wp-content/uploads/prod/sites/47/2023/03/230322_08.jpg マイクロソフト社ページより引用

(本家OpenAIのGUIからの入力(https://chat.openai.com/chat)は、その入力情報がGPTのサービス改善のために使われる可能性がありますhttps://openai.com/policies/terms-of-use。つまり、入力したデータをGPTのAIが学習し、無関係な第三者に提示されてしまう可能性があるのです。本家OpenAIのGUIから自社のデータを利用する場合は、十分注意する必要があります。それに関しては、以下に記載されていますが、JPモルガンやベライゾンなどの企業は機密データの漏えいを危惧し、従業員のChatGPTへのアクセスを禁止している会社もあります。 gigazine.net

AITCでは、AzureでGPTの利用申請が出た直後に申請を通し(Azure OpenAIは申請制になっています)、継続的な技術検証をしています。3月にはChatGPTのAPIであるgpt-3.5-turboが、本家Open AIのリリースから8日後に利用可能になっています。もちろん、本家よりもAzureの方がリリースは遅くなりますが、それほどタイムラグは発生していません。

www.itmedia.co.jp

Azure AI Day 2023~最先端AIテクノロジーのこれからと今~

3月16日に、日本マイクロソフト様主催の「Azure AI Day 2023 ~最先端AIテクノロジーのこれからと今~」が開催されました。

www.isid.co.jp

AITCの小松原と牧田が「AzureのAI-OCRを活用したDX事例~自治体DX化から、社名変更による図面修正プロジェクトまで」と題してここで発表しました。

このセミナーで、日本マイクロソフト様からの発表の大部分は、OpenAI関連の話と、その技術をベースとしたCopilot (副操縦士)の話で持ちきりでした。

当日イベントの発表概要に近い内容は以下となります。

news.microsoft.com

※ISIDはAzure AIパートナーとしてご紹介いただいています。

https://news.microsoft.com/wp-content/uploads/prod/sites/47/2023/03/230322_04.jpg

そのイベントの中で、日本時間3/17(金)午前0:00からThe Future of Work with AI”と題して、オンライン発表があることも告げられました。そのオンライン発表をみて、私は衝撃を受けました。

“The Future of Work with AI”

上記オンライン発表の内容は以下のYoutubeで公開されています。 The Future of Work With AI - Microsoft March 2023 Even(36:38)

youtu.be

Microsoft's AI Future of Work Event: Everything Revealed in 8 Minutes(8分に短縮版)

youtu.be

日本語で纏められているサイト

www.publickey1.jp

詳しい内容は、私がここで説明するよりも、上記のリンク先を見て頂ければと思います。 まさに、私がぼんやりと感じていた、“AIと共に仕事をする時代になる“ということを実感させてくれた動画でした。

そういえば、1月にサティア・ナデラCEOが「マイクロソフトのあらゆる製品に、製品を一変させるようなAI機能を搭載していく」と言っていましたが、こういう事だったのかと腹落ちしました。これらの実現は、GPTによってなされたものですね。

www.itmedia.co.jp

Azure AI Day 2023の中で発表された事例~パナソニックコネクト様のAzure OpenAI Serice活用事例

話は1つ戻って、Azure AI Day 2023の中で以下のような事例発表がありました。

Microsoft Azure OpenAI Serviceを活用したAIアシスタントサービスを国内全社員向けに導入

news.panasonic.com

すでに、国内全社員が、AzureのChatGPT を利用できるようになっている!!!という内容です。

その目的は、上記サイトには以下のように記載されています。

【導入の目的】 パナソニック コネクトは、この「ConnectGPT」を社員に広く提供することで、業務の生産性向上につなげていきたいと考えています。社員がそれぞれの課題に自ら適用し、生産性向上などのアイディア出しを行うなどの活動につなげていきます。また、この活動を通じて、従業員が最先端のAIテクノロジーに日々自由に触れられる環境を提供することで、AIに強い人材育成が加速される副次的効果も狙っております。さらに、業務プロセスにAIを組み込みプロセス最適化に活用することも今後検討していきます。各種、企画資料やデータに基づく資料作成等の社内業務に適用、これらの質とスピードが飛躍的に向上することによる業務効率化により、生み出されたリソースを、担当するB2Bのお客様の価値を最大化する活動に振り向けることで、「現場から 社会を動かし 未来へつなぐ」というパーパスの実現、ひいてはサスティナブルな社会づくりに貢献していくことを目指しています。

上記まとめると、従業員が最先端のAIテクノロジーであるOpenAI Serviceに日々自由に触れられる環境を提供することで

  1. 業務の生産性向上
  2. AIに強い人材育成が加速される副次的効果
  3. 業務プロセスにAIを組み込みプロセス最適化に活用することも今後検討

ということです。

AzureのOpenAI Serviceは既に業務の生産性向上に繋げられる

パナソニックコネクト様のように、従業員が業務データを利用し、安心安全にOpenAI Serviceを業務に利用することができれば、業務の生産性向上に繋げられると思っています。それはAzureのOpenAIサービスで、ChatGPTのAPI(gpt-3.5-turbo )が公開されたことで、直ぐにでも実現できる状況に、この1ヶ月(2023年3月)でなりました。GPT-4のAPI( GPT4-32k)に関しても、既にAzureで利用可能です。

我々AITCは、あるお客様と、このAzure OpenAI Service/ ChatGPTを利用したPoCプロジェクトを既に開始しています。 パナソニックコネクト様の事例と同様に、従業員の皆様に利用していただくためには、Azure OpenAI Studio(https://learn.microsoft.com/ja-jp/azure/cognitive-services/openai/quickstart?tabs=command-line&pivots=programming-language-studio)をそのまま従業員に開放するわけにはいかないので、フロント部分だったり、認証部分だったり、業務観点での仕組みの開発だったり、つまりシステムインテグレーションが必要です。また、プロンプトをどうするとよりよい回答が得られるとか、コスト観点とか、実際に社内システムとして公開にするは考えないといけないことが様々あります。

我々はその部分の開発やコンサルティングを実施し始めていますので、ご興味ある方はご連絡お待ちしています。


執筆
AITC センター長
深谷 勇次