2021.11.01

イノベーションを起こすAI活用人材を一から育成ダイキンとISIDが取り組む「企業内大学」の裏側

ダイキン工業は自社社員をAIのプロフェッショナルへと育て上げるべく、電通総研(旧ISID)からの支援を受けて「ダイキン情報技術大学」を開講

イノベーションを起こすAI活用人材を一から育成ダイキンとISIDが取り組む「企業内大学」の裏側

ダイキン工業は自社社員をAIのプロフェッショナルへと育て上げるべく、電通総研(旧ISID)からの支援を受けて「ダイキン情報技術大学」を開講

業務背景

自社で開発した製品が、設計や製造過程における不具合を見逃して市場に出荷される場合があります。その製品が輸送機器や医療機器・電気・ガス機器などの場合には、製品の不具合が単なるリコールに終わらず人命に関わる場合もあります。

製品の不具合をいかに早く察知し対応するのかについては、製品を生産・販売する企業にとって重要な問題です。ただ、近年のニーズの多様化による製品の多品種化や機能の複雑化により、市場で発生している問題は以前よりも複雑さが増していて、容易な解決は出来ないケースが多くなっています。

市場で発生した不具合に対して、過去に類似する案件が存在する場合は、その案件について特定した上で、それはどのような現象が発生していたのか、原因は何だったのかなどをいち早く把握することで、より迅速な対応が可能となります。
ただし、どのような方法で類似案件を探すかによって、時に見逃しやばらつきが発生します。類似する案件を探し出す手段にもさまざまな課題があります。

類似案件の探索に関する課題

類似する案件を探索する手段として、製品不具合対応について経験豊富な担当者が『この案件は似た案件があった』ことを思い出す、または、自社の品質保証部門の持つデータや顧客アンケートのデータの中から探し出すことがあります。それにより類似する案件の詳細について把握することが出来ます。
しかし経験豊富な担当者でないと、思い出したリ、多くの過去案件の中から似た案件を探し出したりするのは困難です。情報量が増えて担当者が見逃したり退職によってその探索ノウハウがなくなるケースも増えています。

自社の品質保証部門が持つ、製品の不具合に関する過去データや顧客の利用アンケート・クレーム情報は、数値やカテゴリのデータだけではなく現象や原因などが文章でまとめられているケースもあります。

新たに調べたい不具合を過去の大量の不具合文書から検索するには、キーワード検索が用いられることが一般的でした。しかしキーワード検索には課題があります。それは、単語が完全に一致していないと検索結果に表示されないことです。

検索例

似た現象の文章をAIが探し出す

しかし、AI技術のひとつである自然言語処理(NLP: Natural Language Processing)技術の進化により、これまでのキーワード検索ではなく、文章による検索が可能になりました。

過去の不具合文章を学んだAIが、『キーワード』ではなく『文章』から類似する意味の文章を探し出すことで、単語・キーワードに多少の表記の違いがあっても『文章』から類似する意味の文章を探し出すことが可能となりました。

AIが文章を探すイメージ

なぜAIがその結果を選択したか理由が分かる仕組みを構築

AIが類似文書検索で何故その文書が近いと提示したか、その判断理由が不明では業務に使うことは出来ません。
なぜなら、利用者は何故検索結果の上位に表示されるか、表示されないかを知ることで、『この単語は違う単語に置き換えよう』『書き方や表現を変えてみよう』などの継続的な改善活動を考えることが可能になるためです。逆に判断理由が不明であった場合、検索した結果を盲目的に受け入れるだけになり、どのように改善したら良いかわからなくなってしまいます。

ISIDでは、AITC独自の知見により検索結果上位になぜ表示されているのか理由を知るための仕組みを構築し、検索結果上位になぜ表示されているのか理由を知ることが可能になりました。

AIが検索した結果の例

結論:大手製造業の高品質をAIがサポート

ISIDの文書AIの仕組みを導入した大手製造業様では、自社製品の不具合の早期発見、対策の成果として、リコール対策費用の削減を実現しました。
また、今後この仕組みを拡張し、顧客ニーズの早期発見と自社製品企画へフィードバックすることで自社製品の市場競争力向上や顧客満足度向上を目指しております。

お問い合わせ